福祉有償運送事業とは
タクシー等の公共交通機関によっては要介護者、身体障害者等に対する十分な輸送サービスが確保できない場合に認められ、NPO法人や社会福祉法人などが、実費の範囲内(営利とは認められない範囲)の対価により、乗車定員10人以下の自家用自動車を使用して当該法人等の会員に対して行う個別の輸送サービスです。
「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第4次分権一括法)」の成立により、従来、国土交通大臣から各運輸支局長等に委任されていた「自家用有償旅客運送(福祉有償運送)」の事務・権限については、移譲を希望する地方自治体にて行うことが可能となっています。
福祉有償運送事業を始めるには
福祉有償運送事業を始めるには、3つのステップをクリアする必要があります。
1.福祉有償運送事業開設の要件
2.福祉有償運送運営協議会との協議
3.運輸支局への登録申請手続き
福祉有償運送事業開設の要件
運営協議会までに下記の条件を整え、書類作成が必要になります。
1.運営主体
- NPO法人
- 一般社団法人
- 一般財団法人
- 認可地縁団体
- 農業協同組合
- 消費生活協同組合
- 医療法人
- 社会福祉法人
- 商工会議所
- 商工会
- 権利能力なき社団などの非営利法人
※個人・株式会社・任意団体では申請することはできません。また、営利法人が有償運送サービスを行う場合は、一般旅客自動車運送事業となります。
2.利用対象者
次に掲げる者のうち他人の介助によらずに移動することが困難であり、単独でタクシー等の公共交通機関を利用することが困難な者で、予め利用者として登録されている者及びその付添人です。
- 身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者
- 介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定を受けている者
- 介護保険法第19条第2項に規定する要支援認定を受けている者
- その他肢体不自由、内部障害、知的障害、精神障害、その他の障害(発達障害、学習障害を含む)を有する者
※3、4に該当する旅客には、付き添い、見守り等の介助なしにはタクシー等の公共交通機関の利用が困難な者を含みます。
3.使用車両
- リフト等の特殊な設備
- 回転シート等の乗降を容易にするための装置を設けた福祉車両
- セダン型等の一般車両
4.運転者
- 二種免許を受けており、その効力が停止されていない者
- 第一種運転免許を受けており、かつ、その効力が過去2年以内において停止されていない者であって、安全運転・乗降介助等に関する講習の受講等、十分な能力や経験を有すると認められる者
5.損害賠償措置
対人8000万円以上及び対物200万円以上の任意保険等に加入
6.運送の対価
タクシーの上限運賃のおおむね2分の1を目安とし、地域特性等を勘案して判断
7.管理運営体制
運行管理、指揮命令、運転者に対する監督・指導、事故発生時の対応、苦情処理にかかわる体制、安全の確保等に関する体制を明確に整備
福祉有償運送運営協議会とは
福祉有償運送運営協議会は、運輸支局への登録申請等における福祉有償運送の必要性、旅客から収受する対価、福祉有償運送の適正な運営に関して必要な事項等を協議します。また、登録法人に対して必要な指導・助言を行う機関です。運輸支局への登録申請にあたっては、区市町村等が主宰する「福祉有償運送運営協議会」において、福祉有償運送の必要性、運送の区域、旅客から収受する対価等について合意されていることが必要です。仮に合意が得られなかった場合、運輸支局への登録手続きができません。
福祉有償運送運営協議会の構成委員とは
福祉有償運送運営協議会の構成員は下記になります。ただし、区市町村などにより構成員は異なります。
- 運営協議会を主宰する市町村の長又は長が指定する職員
- 一般旅客自動車運送事業者及びその組織する団体の代表
- 住民又は旅客の代表
- 地方運輸支局長
- 一般旅客自動車運送事業者の事業用自動車の運転者が組織する団体の代表
- 実際に福祉有償運送を行っている事業者の代表
- 必要に応じて学識経験者
など
運輸支局への登録申請手続きとは
福祉有償運送協議会で、福祉有償運送の必要性、運送の区域、旅客から収受する対価等について合意がされた場合のみ、運輸支局への登録申請手続きを行います。
申請先の運輸支局は区市町村を管轄する運輸支局等に行います。ただし、複数の区市町村を運送の区域とする場合の申請先は、主たる事務所の所在地を管轄する 運輸支局等になります。